本の感想

【本の感想】アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門(著者:藤井厳喜)

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これまでスイス、香港、シンガポールやその他、オフショア地域のタックスヘイブンを少し勉強してきました。

 

するとアメリカ・イギリスもけっこう怪しげなお金の流れがあるらしい。

 

その勉強にちょうどよかったのが、この本。

 

 

どんな本?

簡単な紹介です。

藤井厳喜さんの「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門

 

 

世の中には裏のお金(アングラマネー)があります。

一般人にはあまり関係ないことですが、そんなお金がタックスヘイブン(租税回避地)に流れています。

 

 

この本には、

アメリカ、イギリス、スイス、イタリア等にどのようなタックスヘイブンがあるのか、どのようにアングラマネーが流通されるのか、その仕組みなどについて、過去から最近の状況まで書かれています。

 

 

情報量が多く、興味がある人にだけオススメ!

(興味なければ辛いかも)

 

 

【本書の構成】

裏側から見た世界経済

アメリカというタックスヘイブン

イギリスのタックスヘイブン

追い込まれる世界最大のタックスヘイブン

イタリアのアングラマネー

エピローグ

 

 

この本は、上記の構成となっています。

この中から、アメリカというタックスヘイブン、イギリスのタックスヘイブン、イタリアのアングラマネー、それぞれの概要をお伝えします。

 

 

詳しくは本を読んでください。

 

 

 

アメリカというタックスヘイブン

本書によると、2004年のアメリカ系多国籍企業の利益は、国外で7000億ドルありましたが、アメリカ政府へ支払われた税額は160億ドルでした。

たったの2.3%です。

 

少し古いので、ネットで比較的最近の記事を探したところ、2013年のフォーチュン500社の多国籍企業の場合、連邦法人税率は6.7%とのこと。

アメリカの法人税率は企業収入に対して15~39%です。

 

いずれにせよ、税金を回避することが続いているようです。

 

企業では、税金をなるべく払わず、利益は株主配当と役員の高額報酬へ流れているそう。

出来る限りの節税対策をして、利益を生み出さないと、株主から批判されるという実情があるようです。

 

 

また、個人的に驚いたのは、2005年になるまでアメリカの金融機関にとって、海外の犯罪で生み出された利益を受け入れることは合法だったということ。

しかもアメリカ政府は、外国政府に対して国内資産に関する情報を提供する義務がない。アメリカに持ち込んでしまえばOK。

 

そんな状況だったそう。

ただし、現在は多くの抜け道はふさがれたようです。

(一部はまだ違法ではないようですが…)

 

アメリカは、FATCAという制度で、外国の金融機関に対してアメリカ人の口座情報を報告するように義務付けています参考情報)。

それなのに、逆に外国政府からの照会には答える義務がないというのもどうかと思いますね。

 

ただし、外国からの圧力もあり、2013年1月1日に新法が施行され、外国人の預金情報を外国政府に引き渡すことになったそうです。

それに反発して銀行協会が訴訟を起こしたところまで本書に書いてあり、ちゃんと運用されているかをネットで探したのですが、見つかりませんでした・・・

どうなったんだろう?

 

最後にアメリカ国内のタックスヘイブンを紹介します。

デラウェア州、ネバダ州、ワイオミング州などがあります。

 

デラウェア州は、企業に有利な会社法がありまず。

アメリカ人の常識では、株式会社は株主のものであるはずですが、ここでは企業は経営者のものとなっています。

 

法人登記も簡単にでき、犯罪目的のペーパーカンパニーも容易に登記ができます。

この企業が有利な会社法により、この州は世界的なマネロンや脱税の本拠地になってしまっているそう。

 

企業が有利な会社法は、ここの他、ネバダ州、ワイオミング州でも同様にあります。

 

さらにネバダ州では、租税情報や法人登記情報を連邦政府と共有していません。

法人税もゼロだそう。

 

そういえば、ネバダと言えば、ラスベガスのあるところですね。

ってことは、ラスベガスで儲けたマネーってことにすれば、資金洗浄できちゃうという仕組みなんでしょうか?

すごく臭いますね~。

 

また、ワイオミング州は、企業に情報開示を命じる法律が無く、完全な匿名法人の登記が可能です。

そもそも申請時に州が把握する情報が少ないから、問い合わせがあっても答えられないそう。

 

日本だと県によって対応が違うとか、そんなことありえないのですが、ここはそうなんですね。

 

 

ちょっと長くなってしまいました。

 

次はイギリスです。

 

 

 

 

イギリスのタックスヘイブン

イギリス系のタックスヘイブン・ネットワークはこの図のとおり。

 

中心を構成するのは、「シティ」という金融街。

②王室属領、③英国海外領(イギリスの一部だが完全な自治体)、④旧英国植民地(独立国)は、それぞれシティと密接つながっています。

 

 

このシティの正式名称は、「シティ・オブ・ロンドン」です。

 

一方、ロンドン市は、「グレーター・ロンドン(大ロンドン)」と呼ばれます。

シティは、大ロンドンにある2.9km2のきわめて狭い地域。

真ん中の赤いところです。

(By TUBS [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], from Wikimedia Commons)

 

 

 

シティは、独自の法律・議会、・市長を有し、税金も独自に徴収。

イギリス国会でつくられる法律は、多くがシティを完全に、もしくは部分的に除外しています。

 

イギリス国内で法制度上のオフショアとなっています。

このため、タックスヘイブンとして機能します。

 

 

 

それによる、オフショアとしての魅力が2点、紹介されています。

 

①イギリス信託法

イギリスの信託法によれば、オフショアの法人がイギリスの法人の取締役になることができます。

 

イギリス 信託会社
ケイマン諸島等 法人

ケイマン諸島等の法人を、イギリスの信託会社の取締役に就任させます。

すると、信託会社の真の所有者を匿名にできます。

所有者がわからなければ、税金をとることは不可能となり、脱税ができるという仕組み。

こうして、シティに資産が流入していったそうです。

 

 

②ノンドミサイル・ステイタス

非永住者となることで合法的な節税が可能になります。

日本風に表現すると、住民登録をロンドンでしておきながら、本籍地は英海外領土にしておくようなもの。

そうすると、タックスヘイブンの英海外領土の低い税率だけでよくなります。

 

 

この他、ロシア、中国の富裕層の資金が流入したこと、香港に共産党幹部の資金が流入し、近くにあるマカオで資金洗浄し、香港経由でシティに流入すること等、色々と書いてありました。

ただ、最近は脱税ほう助や資産隠し等で厳しく追及されてきているそうです。

 

 

 

 

イタリアのアングラマネー

バチカン市国は、世界一小さい主権独立国家です。

12億人のカトリック教徒を束ねるローマ法王庁の所在地。

 

バチカンはイタリア国内にあるものの、独立国家なので、イタリアは介入できず、事実上のタックスヘイブンと言えます。

マフィアがバチカン銀行に持ち込めば、イタリア警察はその出所を追えないのです。

 

 

マフィアとバチカン銀行の疑惑は以下のとおりです。

 

まず、マフィアがバチカン銀行に資金洗浄したいアングラマネーを入金します。

 

バチカン銀行は、カトリックの有力な聖職者しか口座や貸金庫を開設できません。

なので、疑いの目で見られることはあまり無いはず。

 

入った金は、表面上、個人からカトリック系慈善団体への寄付の形をとります。

いかに元の所有者にお金を戻すかというと、教会の建設等の際に、アングラマネーを持ち込んだ人の関係する建設業者を指名します。

そして、無事工事が終わったら、バチカン銀行が一定の手数料を取って、建設業者の収入としてきれいに洗浄されて戻ります。

 

これは建設してもらった対価として渡しているので、文句が言えませんね。

あまりに高すぎたら、指摘されるかもしれませんが。

 

バチカン銀行、マフィア、お互いにとって都合が良い関係ですね。

資金の出所・理由が一般人としては気になります・・・

 

 

 

ちなみにバチカン銀行の位置づけ等は以下のとおり。

 

バチカン銀行:1942年、ローマ法王ピオ12世の私法によって成立しました。

この銀行は、事実上、バチカン銀行総裁が個人的に管理しています。

バチカン銀行は、ローマ法王庁の予算とも、バチカン市国の予算ともまったく独立した法王直轄の金融機関で、バチカンの財政委員会の監査もまったく受けていません。

そして、業務の情報公開をしたことは一切ありません。

 

国の予算とは関係ないので、ある程度、自由に使えるようで、監査もされているのか?

特定の人が大金を管理すると、たいてい悪いことに使われますよね(・・;)

 

 

とくに近年まではマフィアとのつながりがドロドロしていたような疑惑があります。

非常に密接につながっており、これまでのマネロン手法を厳しく見直そうものなら、ローマ法王が不審死を遂げたこともあるようです。、

そんなスキャンダル関係が非常に詳しく書いてありました。

 

 

 

 

まとめ

本書の中から、アメリカ・イギリス・イタリアのアングラマネーの流れや仕組みについて概要を説明しました。

 

アメリカでは、アメリカ人の口座情報を外国の金融機関に報告するよう義務付けがある一方、外国政府からの照会には答える義務がないという状況。

国内にタックスヘイブンがあり、海外の儲けを国内に入れようとする流れがありました。

 

イギリスでは、シティが法制度上のオフショアとなっています。

そこをうまく活用することで、かなり節税ができます。

 

イタリアでは、バチカン銀行が事実上のタックスヘイブンとなっていたようです。

そこにはマフィアとのズブズブな関係があった模様。

 

 

どこも大金がからむと反社会的な勢力が暗躍するのですね・・・

国内の仮想通貨取引所でも反社との関わりを指導されていたところありましたし。

 

 

僕の個人的なイメージですが、アングラマネーは仮想通貨へ流れている気がします。

タックスヘイブンでは、脱税ほう助等を疑われて、世界的に監視が厳しくなっています。

また、顧客情報も隠し通せなくなってきています。

 

もし、これまでのように他の産業が無いような小国で、お金が入ってこなくなったら、どうするのでしょう?

顧客情報を隠して、これまでのようにお金を扱える方法があるとしたら・・・

 

僕はタックスヘイブンが仮想通貨でそれをしようとしてるように思います。

最近、タックスヘイブンやスイス等に仮想通貨の取引所ができたり、それに合わせた法規制を作ろうとしている流れがあると思います。

個人的な妄想ですがね。

 

 

 

さて、本の一部を紹介しました。

この本を読むと、比較的最近の各国の状況、世界的なアングラマネーの取締り傾向、それに伴うタックスヘイブンへの影響、マフィアとイタリア首相等の事件等、様々なことがわかります。

情報量多めなので、おなか一杯になるかも。

興味を持った方は、ぜひご覧ください。

 

 

藤井厳喜さんの「アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門

 

 

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